マネーボールと統計学 ポール・デポデスタの打者評価、ボロス・マクラッケンの投手評価

マネーボールとSEOのテーマは、
まず、データを取ること、数値化すること、目の前の事象に対して理論的な根拠を見出すことである。
(順位ダウンしたらペナルティ! というパブロフの犬を卒業することが必須)

そして、データからひろう項目とすてる項目を分別すること、シグナルとノイズの仕分けが肝要である。

統計学に慣れることをお勧めしたい。

また、日本のプロ野球観戦などが趣味で、かつ数値というか統計学的アプローチに興味がわいた方は、次の本もどうぞ。

ポール・デポデスタとマネーボールの打者評価

ポール・デポデスタは、ビリー・ビーンの側近、マネーボールの参謀である。

ハーバード大学を卒業!

オークランド・アスレチックスは、2001年に102勝を挙げたものの、主力選手3人が他球団へ移籍。
ところが、2002年のシーズン前に、ポール・デポデスタが計算したところ

  • プレーオフ進出に必要な勝ち数は、95
  • 95勝に必要な得失点差は、135
  • 得点予測は、800~820
  • 失点予測は、650~670
  • 勝利数予測は、93~97

つまり、主力を放出しても、勝利数は最大でマイナス9と予測できた。
現に、2001年は102勝でワイルドカード、2002年は103勝で地区優勝と、前年を上まわったのである。

ちなみに、得点と失点から勝率を計算する式は「ピタゴラス勝率」という。
ビル・ジェームズ考案(笑)

ピタゴラス勝率=得点の二乗÷(得点の二乗+失点の二乗)

もちろん、予測のための統計学であるから、
得点予測の式、失点予測の式、これもそろっている。
今回は、割愛。

ビル・ジェームズを先駆者とする打者評価は、出塁率+長打率である。
出塁率は、安打数と四球数で決まる。

デポデスタの優れた頭脳は、出塁率と長打率では、どちらが重視されるべきか、データを解析しているのである。
およそ、出塁率は3倍の価値があると。

つまり、アスレチックスは、次のように計算しているのである。

NOI=出塁率+長打率÷3

ちなみに、ある打者の評価では、その選手が9人いたとしてシーズンで何得点をあげるか?
そのようなシミュレーションも、随時おこなっているらしい。

ポール・デポデスタは、その後ドジャースのGMになったあと、サンディ・アルダーソンにひっぱられてメッツのフロントに入った。

ボロス・マクラッケンとマネーボールの投手評価

ボロス・マクラッケンは、法律事務所の事務員で、

投手の評価は、与四球、奪三振、被本塁打。

仮説、上記以外のたとえば被安打は、投手の評価とは無関係では?
ホームラン以外は、ヒットでもアウトでも、投手成績には関係ない!

つまり、与四球、奪三振、被本塁打は、シーズンによって変化があまり見られないが、
被安打は、シーズンによって大きくばらついている。

ボロス・マクラッケンの、与四球、被本塁打、奪三振に限定した投手評価は「DIPS」と呼ばれている。
また、トム・タンゴは、DIPSの改良版「FIP」を考案。敬遠やデッドボールを加味。
さらには、その改良版「xFIP」もある。こちらは、外野フライがホームランになる確率を加味している。

DIPS=(与四球×3+被本塁打×13-奪三振×2)÷投球回+[定数]
FIP={(与四球-故意四球+死球)×3+被本塁打×13-奪三振×2}÷投球回+[定数]
xFIP={(与四球-故意四球+死球)×3+(外野フライ×13×0.11)-奪三振×2}÷投球回+[定数]

キモは、ホームラン以外のヒットは、守備、球場、天候、その他の運に左右されるので、投手の責任ではないということである。
さらに被安打だけでなく、勝ち負け、勝率、自責点、防御率などのおなじみの投手評価項目も、きれいさっぱりはずされている(笑)

マクラッケンを先駆者として、ご覧のように、あとから次々と投手評価の指標が考案されている。

愚者は否定し、賢者は発展させる。
世の常である。

なお、マクラッケンは、ボストン・レッドソックスの投手起用の特別アドバイザーに就任している。

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