野球とSEO 「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー: 高橋 秀実

この本は、イノベーションのケーススタディとして、かなり衝撃的。

常識的、一般的な方法論では、下位は上位に勝てない。
ローレベルの者は、ハイレベルの者が習熟している考え方ややり方では無理じゃないの?

よって、新規参入組や万年下位の者は、常勝の方法論を真似しても、永遠の負け組になりかねない。

つまり、持続的イノベーション(改良・改善ごとき)では、絶対にトップくらいに追いつけないから、
非常識な破壊的イノベーション(革命)の一択なのである。

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー: 高橋 秀実

野球を知らない人には、ちんぷんかんぷんかも
それ以上に、野球をよく知っている人には、たぶん腹立たしい。

常識が好きな人、人の言うことを信じるタイプも、この本はダメ。

とにかく、異世界を探検した気分になること、間違いなし
で、これが破壊的イノベーションと言わずして、なんと言えよう!

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー: 高橋 秀実

ルポルタージュで、監督や選手の言葉が秀逸。

開成高校と野球部

まず、開成高校は、東大(東京大学)に進学する者が圧倒的に多い。

しかも、「ガリ勉」というか、受験勉強に必死というわけではなく、正しく伝わるか不安だが、すっと東大に受かるような秀才ばかりである。

生まれつき頭がいい、DNAがそうなっている、そのような人たちが、野球に対してどのように考えて取り組んでいるのか、それが非常に異質で驚くのである。

さて野球部であるが、東京予選でベスト16に入ったことがあるという!

練習は、週1回3時間。試験などがあると1カ月間飛ぶ。
そもそも、彼らは異常に下手だと!!

なぜ、彼らはかならず初戦敗退とはならないのか?
なぜ、ある程度は勝ち進むことができるのか?

開成高校野球部のモットー

他校の野球部のモットーは、
チームワーク、信頼関係、協力、感動の共有、そして愛
つまり、周囲への気遣いばっかり…

開成高校野球部のモットーは、
プロ注目の投手を打ち崩したい

開成高校野球部監督の哲学

一般的な野球のセオリーは、同じレベルのチームどうしの対戦にだけ通用する。

通常は、バントでランナーを得点圏に送り1点を取る野球。
ところが、そのあとに10点取られる開成は、そんなセオリーでは初戦敗退必至。
相手の攻撃をおさえることができる守備力がなくては、セオリーも必敗方法論。

10点取られる前提で、15点取る野球!!!
15-10こそ、開成の究極の勝ちスコア!

一般的な確実性のセオリーを破壊して、
ドサクサに紛れて勝つような、ハイリスク・ハイリターンのギャンブル。

野球には教育的意義はない
野球はやってもやらなくてもいいこと
ムダ、偉大なるムダ

東大出身の青木監督に学ぶ確率的な兵法

確率といっても、1点を取り守り勝つ高校野球定番のスモールベースボールではなく、
取られたら取り返すビッグイニングをつくるための、確率。

1試合でそれぞれの野手が処理する打球は3~8個。
猛練習の成果が出る難しい打球は1つあるかないか

そんな例外処理のために、貴重な練習時間を割くわけにはいかない!

だから、練習のほとんどは、バッティングとなっている。

開成高校野球部部員の野球観

とくに、開成高校の野球部員たちの、野球に対する言葉が、異星人のようで驚くかぎり。

苦手と下手は違う。苦手は主観的で、下手は客観的。
(野球ではなく国語の問題か?)

野球の魅力は「読み合い」あるいは「予測」
野球だけは「間」があって、プレイとプレイの間に一息ついて思考する時間がある。他の競技にはない魅力。
勉強は、やるべきことをやれば結果が出る。野球は臨機応変で不確実…

外野

打球が怖い、内野が打者に近くて怖い。だからより安心できる外野を選ぶ。

外野は涼しい。
内野は緊張するが、外野は全体を客観的に見て、気持ちにも余裕があって、涼しく感じる。

内野

サードが内野で一番楽。
セカンドやショートは、ベースカバーをしたり、外野からの返球をカットしたり、左右に動くことが多い。
サードは3塁だけでいい。

投手

ピッチャーだけは受け身ではない。
他の野手は来るボールに反応する。
ピッチャーだけが、自分が投げることではじまる。
それが魅力。

打者

バッターボックスが好き。
ひとりだけで立つ。注目される。

野球の魅力はバッティング。
玉をバットの芯でとらえたときの感触がたまらない。
あれに勝る喜びは今まで感じたことがない。

盗塁

野球はピッチャーとバッターの勝負
盗塁はランナーとバッテリーの勝負。
ベンチにいるときからピッチャーの癖を探っておく。
上半身に予備動作がある。どこに注目すればいいスタートが切れるか、決めておく

※まあ、これだけは、まともな野球の技術の話のようである…

頭がいい監督や選手の思考

たとえば、Googleの主力スタッフは、スタンフォード大学の数学や統計学の博士号を持っている人が多い。
この人たちは、開成高校野球部の監督や選手のように考えて、アルゴリズムをつくっているかもしれないのだ。

そんな彼らの裏をかいて、ペナルティを回避しながら、1ページ目を取るって、なんて痛快なんだろう!!

それよりも何よりも、こちらがビジネス的に成功するためには、
常識を極めた上位に食い下がるには、同じ常識で勝てると考えることこそ愚か。

常識を捨てて、突き抜けることが必須ではないだろうか?

1ページ目の常連の、たとえばリンクを真似しても、追いつき追い越すことは不可能。
常識やぶりのは快適イノベーションで、ビッグキーワードでトップを取る!

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