複雑ネットワークとSEO 自家用メモ

インターネットはネットワークでできています。

WWWはリンク関係によって「複雑ネットワーク」そのもの、またGoogleのアルゴリズムは当然、複雑ネットワークを解析してつくり上げられています。

複雑ネットワークの名著

複雑ネットワーク―基礎から応用まで

ネットワークは、頂点と枝、Webページとリンク、などでできています。
頂点は点、ノード。枝は弦、弧、リンク。とも呼ばれます。

Webページが3つあって、たとえばSEO対象自ページ1と、リンク元2で、この3ページがリンク関係にあれば、三角形ができますが、この三角形をクラスターといいます。
ただし、2つのリンク元どうしがリンク関係にない場合は、クラスターとはなりません。

Webページに張られるリンクの数は次数ですが、この次数(リンク数)の分布はべき乗則にしたがいます。
べき乗則は、不平等な分布グラフを描き、パレートの法則やジップの法則、ロングテールで有名なあの曲線です。

複雑ネットワーク―基礎から応用まで: 増田 直紀, 今野 紀雄

P.12
ネットワークの世界ではべき則のことをスケールフリーという。
P.13
べき則をよく知ることは、ネットワークの理解のために重要である。

あるページがA・B・C・Dの4URLにリンクを張っている場合、たとえばAへ行く確率は4分の1となります。これをランダム・ウォークといいます。
あるページの枝・発リンクは4ですから、ランダム・ウォークはその逆数になります。

P.203
ランダム・ウォークは、近年の金融工学の基幹を成してもいる。

P.207
ページランクはランダム・ウォークであると言っても差し支えない。

結局、Googleのアルゴリズムは数学や統計学であり、PageRankとは、リンクをたどるユーザーがそのページにランディングする確率と同じになることが分かります。
もちろん、GoogleのアルゴリズムはPageRankだけでないことは言うまでもありません。

「複雑ネットワーク」とは何か

さらにマーケティングにおいても、市場が複雑ネットワークそのものですから、枝をたくさん持つ人をめがけるか、自分自身が枝をたくさん抱えるような仕組みで販促した方が成功につながるでしょう。
よってインターネットでは、検索エンジン・マーケティングよりも、ソーシャルネットワーク・マーケティングの方が、優位であることは間違いありません。

紹介した本は数式ばかりで、読むところがないかもしれませんので(笑)、まずは入門書からどうぞ。

歴史は「べき乗則」で動く

また、社長ブログの方でも、やや詳しく書評を載せていますが(2010年読書録 ベストは『孫子・戦略・クラウゼヴィッツ』)、

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学: マーク・ブキャナン, Mark Buchanan』は、絶対のおすすめです。

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 : 高橋 昌一郎
知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 : 高橋 昌一郎

複雑ネットワークとバックリンク

結局、SEO対象ページもリンク元も、インターネットの複雑ネットワークの中にあります。

そして下図のように、(1)リンク元がリンク関係になくクラスターになっていないケース、(2)リンク元が片側リンクしてクラスターになっているケース、(3)リンク元が相互リンクしてクラスターになっているケース、と自作自演を含むリンク張りは注意が必要です。

複雑ネットワークのクラスター 複雑ネットワークのクラスター 複雑ネットワークのクラスター

もちろん、これに対して自ページからリンク元へリンクを張れば、Googleがバックリンクをまともに評価してくれるのか? ペナルティの温床になるかも? ということになるでしょう。

複雑ネットワークをかじると、Googleのアルゴリズムやペナルティに、今までとは違った敏感さを得ることができるでしょう。

あなたのSEOや自作自演リンクは、肉体労働ですか? 霊能力ですか? それとも科学ですか?

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