Windows Azureとマイクロソフトの野望 クラウドにも帝国を

Windows AzureがMicrosoftのクラウドOSだとか、MS版の「Google App」とかホスティングサービスとか言われてもピンと来なかった。

実際、ICT系のブログでも大きく扱われてはいないようだ。って鈍感なのは私だけ?

ちなみに、azureは「アジャー」と読むらしい。空色、青空という意味である。

パッケージソフトの帝王がクラウドにビジネスモデルを作り上げる

インターネットのビジネスモデルは、次の3つである。

  1. 販売
  2. 課金
  3. 広告

そして、インターネットサービスの大半は、(3)広告がほとんどであり、特に検索連動広告ではGoogleは覇者となっており、またYahoo! Inc.が苦しんでいるのもバナー広告が不調でかつ検索連動広告ではGoogleに遠く及ばないからである。

さらに、このことからMicrosoftによるYahoo! Inc.買収で、Googleの独占を阻止するべきだとの、市場の喚声も凄まじいわけである。

Googleの後を追わないMicrosoft

こういった流れで最近、非常にショックを受けた記事がある。

なぜ、MicrosoftはYahoo! Inc.を買わないのか、その答えである。

MicrosoftがGoogleには負けない理由:本田雅一の「週刊モバイル通信」

1年前までバルマー氏はGoogleの弱点やビジネスモデルの問題点を指摘することが多かったが、このところのバルマー氏はGoogleを「よくやっている」と褒めることが多くなった。どうやら、経営者としてのバルマー氏の標的からGoogleは外れたようだ。

つまり、MicrosoftはGoogleと同じフィールドに立っても、実は違うゲームを戦うということなのである。

クラウドコンピューティングの中で、アプリケーションを提供する企業としては圧倒的ナンバーワンとも言えるが、Googleは自らのアプリケーションをどのように利益に変換するかという部分で苦戦しているとも言えるだろう。

一方のMicrosoftは、クラウドサービスも開発/提供はしているが、それ自身を(広告モデルあるいは直販で)売ることには熱心ではない。一時は MSNからの流れでYahoo!やGoogleと似た動きをしていたが、現在のMicrosoftは、クラウドとWindowsクライアントの統合、クラ ウドサービスを実装するためのデータセンター運営と開発ツール/環境の提供(Windows Azure)の2つに狙いを定めている。

要するに、上記インターネットビジネスモデルの、(3)広告を採らずに、(2)課金で行くということである。

Azureの上でパートナーたちがアプリケーションを書いて販売すれば、それらはMicrosoftの利益につながる。

あえてこの分野でMicrosoftの競合を挙げるならば、Amazon.com、あるいは日本では楽天なども含まれるかもしれない。つまりデータセン ターとその上で動くサービス基盤の軒を貸して、他社のビジネスをサポートすることで利益を挙げる。内容の幅や仕組みなどは異なるが、考え方としては同じこ とだ。

楽天型かどうかは別として、Windows AzureにせよWindows Live内で動くOfficeにせよ、広告表示ではなく課金で収益を上げるビジネスモデルの雛形があるということが大きい。

こうして、クラウドでも帝国を築こうとするMicrosoftの野望が達成できるか、あくまでも検索と広告を貫いてGoogleがクラウドで覇者となるのか、既に全面戦争がはじまっているのである。

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