グーグルとProposition 8(Prop 8) モノ言うシリコンバレー企業の登場
Google CEOのシュミット氏のオバマ支持発言といい、同性婚姻を認めないとするカリフォルニア州条例案の住民投票におけるGoogle企業としての反対支持といい、アメリカのすぐれた企業は、消費者の方を向いてニュートラルに無難にという八方美人の風見鶏を止めつつあるのかなぁという実感である。
この「同性婚姻を認めないとするカリフォルニア州条例案の住民投票」が、Proposition 8、略してProp 8である。
ドットコムバブルがはじけた後にGoogleが現れたように
まあ、他国のことであるし、アメリカといってもカリフォルニア州という一地方の話である。
住民が、民主主義に則って、賛成や反対を投じればいい。
気になったのは、これを紹介した記事の、ある一文である。
【コラム】シリコンバレー101 (292) 政治にモノ言うGoogle – Prop 8に反対表明 | ネット | マイコミジャーナル
起業家のJudy Estrin氏は、イノベーションが自然発生することはなく、リサーチ、開発、アプリケーションの相互作用を生み出す努力の結果だと主張する。これを"イノベーション・エコシステム"と呼ぶ。
つまりビジネス、教育、政治に及ぶビジョンがなければ、本当の意味でのイノベーションは実現しない。内容によっては、その中に法案や政治的リーダーの支持も含まれる。
コラム執筆者も、これをもってGoogleという企業のイノベーター振りを評するには牽強付会に過ぎるかもしれない、とは付け加えている。
だがしかし、イノベーションにはそれを起こさせるインフラ、エコシステムが必要ということは間違いないだろう。
だから、今のどこかの国のように、新しいものを認めない、人の邪魔をしても自分の既得権だけは守りたい、派閥徒党を組んで背く者を潰す、長年の政権政党だから優秀であれお粗末であれその総裁が首相になればそれを大企業団体が支持をする、そういう負のエコシステムの国家住民では、世界を揺るがすイノベーションは、外国へ行って起こすしかないのである。
なお、このProp 8に対しては、カリフォルニア州の最高裁判所が同性婚姻を認める判決を下しているのに、一部の保守派議員がちゃぶ台返しの条例案を提出したものらしい。そこで、住民投票で決着ということ。アメリカらしい(でしょ?)。
そこで、Prop 8への賛成と反対をめぐって、市民レベルではなく企業規模の騒動となってきている。条例案への反対表明(つまり同性婚姻も認める)は「No on 8」という。
Appleは10万ドルを「No on 8」キャンペーンに寄付。米国での報道によるとGoogleはLarry Page氏が4万ドル、Sergey Brin氏が10万ドルを寄付した。
No on 8は、より多くの有名人やセレブの支持を集めている。例えばブラッド・ピットが10万ドル、スティーブン・スピールバーグ/ ケイト・キャプショウ夫妻が10万ドル、デビッド・ゲフィンが10万ドル、T.R.ナイトが5万ドルなど。企業では電力会社のPG&E、Levi Strauss & Co.、MTV Networks/Viacomなどが反対支持を表明。
これは、「No on 8」だからといって、同性婚姻はたまた同性愛に大賛成ということではない。もちろん。
要するに、自分の価値観を人に押しつけることは、他人の自由を奪うことである。それはファシズムだ、という思想哲学からの意思表明なのである。(石崎による拡大解釈)
オマケとして、
Googleの場合、Prop 8に反対しているのに、Prop 8賛成派がGoogleの広告サービスを利用して主張を広めている。
こういったところも、アメリカ的で、かえってすがすがしい。
さて、もっとも感動した部分、このエントリーを書きたくてたまらなくなった箇所を引用する。これが、今回のメインである。
ドットコムバブルがはじけた後にGoogleが現れたように、シリコンバレー企業は冬の時期にこそ、アイディアとイノベーションを生み出す力を発揮する。景気低迷の影が色濃くなる昨今、モノ言うシリコンバレー企業の登場が頼もしく思えるのも実感なのだ。
- ドットコムバブルとは 【.com bubble】 – 意味・解説 : IT用語辞典
実は、Yahoo!もドットコムバブル崩壊の犠牲者である。
財務強化とメディア企業として方向付けのために、ハリウッドからセメル氏を迎えた。
たしかに、セメルCEOの功績によってYahoo!は財務的に倒産を免れた。しかし、ハリウッド的な企業方向性が、Googleに対する決定的な敗北を招き、そしてMicrosoftによる買収騒動に巻き込まれてしまうことになるのである。
つまり、Yahoo! Inc.は立て直し方をしくじった、ボタンを掛け違ったのである。
今は、世界同時金融危機であり、さらに消費低迷による大不況に突入している観もある。
だがしかし、歴史は繰り返す。
ドットコムバブル崩壊後のGoogleのように、「アイディアとイノベーションを生み出す力を発揮する」新たな勢力も、誕生のとき、活躍の時代を与えられているのである。
ほとんどの人が大変なときに、自分も大変だ大変だと言っていたら、普通の人、勝てない人、居なくても構わない人である。
ほぼ平等に苦しいときに、頭ひとつ抜け出せば、よくなったときは独り勝ちである。
とにかく私は頑張るぞ。と。